■「多角的全方位戦略」はミスをすれば「戦略の迷走」

市場のニーズに合わせていち早く求められているソリューションが提供できるか、これがポイントとなる。また、自社にそうしたソリューションを持ち合わせているか、スピーディかつフレキシブルに求められているソリューションの開発に取り組んでいけるか、機動力が勝負。台湾大手ベンダーは賄いきれない技術やソリューションをスタートアップベンチャーに期待し、スタートアップベンチャーの技術やソリューションをうまく取り込んで新しい分野の製品開発に挑戦する。2016年に始まったInnoVEXはそうした業界のニーズをうまく捕らえた。

しかし、模索を繰り返しながら、展示会に持ち込む出展製品がなかなかビジネスに繋がらないというケースも少なくない。「多角的全方位戦略」という言葉はポジティブな響きがある。前向きである。しかし、方向性を誤ると結果が伴わず、費やした資金も人材も無駄になる。マーケティングが不十分であること、ターゲットの絞り込みが甘かったことがマイナスの結果をもたらす。

あれもこれも手を出して、結果的にビジネスの成功に繋がらないのは「戦略の迷走」である。積極的な「多角的全方位戦略」で攻めの姿勢を貫くことができるのか、人材や資金など限られた資源を有効に活用しきれず、単なる「戦略の迷走」で終わるのか、各社ともここ数年が正念場といったところだろう。

台湾ベンダーの「強み」は3つ。まず、高品質のパソコンをリーズナブルな価格で大量に生産し、世界中に供給してきたこれまでの実績。2つ目は世界中に持っている販売ネットワーク。そして、Try & Errorを繰り返しながらも次々に新しい開発に挑戦していくスピードと柔軟性だ。

こうした「強み」を活かすことができる間に、AIoTのどの分野で独自の市場を切り開いていくことができるか、繰り返しになるがここ数年が正念場だ。これは同時に日本企業(日本の中小企業)にとってもビジネスチャンスである。日本側の「強み」と台湾ベンダーの「強み」を組み合わせて協業できるポイントを見つけ出していくことができれば、大きなビジネスチャンスになるはずである。

時代はAIソリューションへ大きく動き、Smartという言葉に代表されるようにさまざまな分野でビジネスソリューションの変革が起こっている。多角的全方位戦略なのか戦略の迷走なのか、台湾ベンダー自身も模索を繰り返しながら進んでいるというところが正直なところだろう。戦略迷走の罠に陥らないためにもスピーディな意思決定とフレキシブルな対応が求められる。こうした台湾ベンダーとどう関わっていくべきか、それぞれの「強み」を活かすことができるアライアンスを考え、日本企業側もしっかり向き合っていきたい。

TCA東京事務所ではInnoVEX2020にてジャパンパビリオンを設置予定。(会期2020/6/3-6/5)、http://www.tcatokyo.com/InnoVEX2020.pdf  海外での市場開拓または提携パートナー探しに取り組む企業を支援。また、AIoTをキーワードに「日台アライアンス」に関心がある自治体、業界団体、または企業があればご連絡いただきたい。Computex2019報告会やセミナーの開催、個別案件の相談も対応可能。http://www.tcatokyo.com/Computex2020-8.pdf


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http://www.tcatokyo.com/taipei2020.pdf

 

<写真14-1>日本企業の出展ブース

Computex2020 (14-1)

 

 

 

 

 

 

 

<写真14-2>InnoVEXはアジアビジネスのゲートウェイ

Computex2020 (15-2)