<コラム>COMPUTEX & InnoVEXを理解するためのキーワード(その2)最先端ではなく実用先端

240603-06 (6)■キーワード「最先端」ではなく「実用先端」の製品展示、「半年後」のビジネスがターゲット、「80点主義」で相互補完の関係を重視

■COMPUTEX & InnoVEX2025

このコラムは3シリーズでCOMPUTEX & InnoVEXの特徴や見どころを紹介してきた。これまでCOMPUTEX & InnoVEXの開催概要について、次に今年の注目ポイントについて、さらに事前登録と会場までのアクセスについて、シリーズで紹介してきた。ご好評につきコラムを追加して引き続きCOMPUTEX & InnoVEXを紹介していきたい。前回のCOMPUTEX & InnoVEXの特徴に続いて、今回は日本人ビジネスパーソンが知っておきたい日本の展示会との違いについて、そして2016年からCOMPUTEXに併設されているスタートアップの展示会であるInnoVEXについて、紹介していきたい。

視察を予定している皆さんはこのコラムのバックナンバーをぜひ参考にしていただきたい。また、シリーズの最後にはCOMPUTEX & InnoVEX2025を効率よく視察するための「モデルコース」についても紹介したい。ぜひご期待ください。

■COMPUTEX & InnoVEXの特徴、「最先端」ではなく「実用先端」の製品展示

ここで皆さんに知っていただきたいキーワードは「最先端」≦「実用先端」という点。誤解を恐れずに言うと、必ずしも「最先端」の展示会ではない。最先端技術を競う展示会ではなく、「実用先端」という言葉を使いたい。「実用先端」とは市場で求められているスペックやリーズナブルな価格帯の製品をいち早く世界中に供給することを目的とした展示会であるという点に注目したい。繰り返しになるが、ハイテク、高付加価値の製品ではなく、スペックのダウンサイジング、リーズナブルコストがCOMPUTEX & InnoVEXの邑久町である。

COMPUTEX & InnoVEXには、最新技術の自動車の自動運転の展示も、最先端のビックデータの解析も、8K・16K技術や第五世代の通信技術の出展もない。もし、最先端を垣間見ることができる展示なら日本のCEATEC(主催社団法人日本電子機械工業会/EIAJ)やアメリカのCES(主催全米民生技術協会、Consumer Technology Association /CTA)の視察をお勧め。

COMPUTEX は最先端とではなく「実用先端」を重視。ハイテクというより既存の技術を使って市場で求められている製品を如何に安く、大量に、すばやく、世界のマーケットに供給していくことができるかを台湾ベンダーが競い合う展示会である。

■COMPUTEX & InnoVEXの特徴、「半年後」のビジネスがターゲット

ここで皆さんに知っていただきたいキーワードは「未来の可能性」≦「半年後の実績」という点。すばり「クリスマス商戦」がメインのターゲットだ。COMPUTEXは3年後や5年後と言った製品トレンドを占う展示会ではなく、半年後または一年後に市場で求められている製品がブースに並び、それを買い付けるために世界中から集まるバイヤーが集まる展示会である。今年のクリスマス商戦で何が売れるか、半年後、一年後のビジネスのために何を買い付けたらいいかを考える。

世界中から集まるバイヤーにとって、COMPUTEX は未来のトレンドを見る情報収集の場ではなく、それぞれの地域で売れるものを買い付けていくための展示会なのである。高付加価値を求めるのではなく、必要十分なスペックでコストパフォーマンスのよい製品を、安く大量に買い付けることにしのぎを削る。

■COMPUTEX & InnoVEXの特徴、完成度100% ≦ 80点主義

ここで皆さんに知っていただきたいキーワードは「80点主義」で相互補完の関係を重視」という点。完成度100%ではなく「80点主義」というと安かろう悪かろうというイメージを持つ方もいるかもしれない。しかし、完成度80%というのは決してそういう意味ではない。「80点主義」で製品を展示し、残りの20%はそれぞれの市場に合わせて販売パートナーの判断でスペック調整を行う。

市場によっては、高付加価値の製品ではなくスペックダウン、リーズナブルコスト重視というバイヤーも存在する。欧米市場で求められているスペック、または東南アジア市場で求められているスペック、日本市場、インド市場などそれぞれの市場に合わせて各地域のパートナーとスペック調整を行う。その上で製品を世界中に市場に送り出すのが台湾企業の‘強み’だ。

「最先端」ではなく「実用先端」の製品展示、「半年後」のビジネスがターゲット、「80点主義」で相互補完の関係を重視、業界のトレンドを占う展示会ではなく、各国の市場で売れるものを素早く提供する、この点がCOMPUTEXに世界中からバイヤーが集まる理由である。

■COMPUTEX & InnoVEX2025開催概要

会期は5月20日(火)から5月24日(金)まで4日間。会場は台北の「台北世界貿易センター南港ホール」(TaiNEX)の第1ホール及び第2ホール。出展企業数は1,800社、4,800小間。来場者は10万人を予測。主催はTaipei Computer Association/TCA(台北市電脳商業同業公会)とTAIWAN TRADE CENTER/TAITRA(中華民国対外貿易発展協会) 第1ホールの4階にはACER(宏碁)、ASUS(華碩)、MSI(微星)など台湾を代表する大手ベンダーが出展。また今年で10回目を迎えるInnoVEXには国内外から400社を超えるスタートアップが出展。注目を集めそうだ。日本語の「事前登録」のサイトはこちらから https://www.computexonline.com.tw/?userlang=jp

 

※レポートに掲載した内容に関して詳細はTCA東京事務所までお問い合わせください。連絡はe-mailにてbridge-jp@asia-net.bizまで。またはTCA東京事務所担当吉村(携帯:080-7046-7888)まで直接お問い合わせください

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