今年の注目ポイント
このコラムは3シリーズでCOMPUTEX & InnoVEXの特徴や見どころを紹介していきたい。■第1回目はCOMPUTEX & InnoVEXの開催概要について取り上げた。(こちらのコラムのバンクナンバーをご覧ください)■第2回目は今年の注目ポイントについて、第3回目のコラムでは事前登録と会場までのアクセスについて取り上げる。視察を予定している皆さんはぜひ参考にしていただきたい。■さらにここのコラムの最後にはCOMPUTEX & InnoVEX2025を効率よく視察するための「モデルコース」についても紹介したい。ぜひご期待ください。
■COMPUTEX & InnoVEX2025は過去最大規模で開催
出展企業1,800社、出展規模4,800小間、5/20(火)から5/24(金)まで会期4日間。これは過去最大規模での開催。COMPUTEX & InnoVEXの主催はTaipei Computer Association/TCA(台北市電脳商業同業公会)とTAIWAN TRADE CENTER/TAITRA(中華民国対外貿易発展協会)の2つの団体による共同主催。
会場は台北の「台北世界貿易センター南港ホール」(TaiNEX)の第1ホール及び第2ホールでの開催。ACER(宏碁)、ASUS(華碩)、GIGA-BYTE(技嘉)、MSI(微星)など台湾を代表する大手ベンダーはもちろん、グローバル市場を狙う中堅・中小企業からスタートアップが海外から訪れるバイヤー向けに最新製品やソリューションを出展する。
今年で10回目の開催となるInnoVEX2025は国内外のスタートアップ400社が出展する。注目はヨーロッパやアジア諸国のアクセラレータがパビリオンを出展。台湾をベースキャンプとして活用して、グローバル市場を目指す。自分たちの製品やソリューションを台湾ベンダーに売り込むことによって、台湾ベンダーが持っているグローバル市場におけるネットワークを活用することが狙いだ。
■第1ホール4F/中央入口から会場へ、まずはCOMPUTEX会場の‘1丁目1番地’へ
System Integration Solutions、Gaming、Smart Mobilityが第1ホール4Fに出展。さらにRobotics & Drones、International Exhibitorsといった分野も第1ホール4Fだ。メイン通路のASUS(華碩)とACER(宏碁)の交差点付近がCOMPUTEX の‘1丁目1番地’になる。兎にも角にも、まずはここに足を運びたい。COMPUTEXの熱気が最も感じられるエリアだ。ASUS(華碩)とACER(宏碁)の他にも、MSI(微星)、BENQ(明碁)、ROG(Republic of Gamers)といったパビリオンが陣取る。いずれもCOMPUTEXでは常連の出展企業で台湾を代表する大手ベンダーだ。半導体デザインハウスMEDIATEK(聯發科技)もこのエリアに陣取る。(ただし、注目のNVIDEAは第2ホールのセンターステージ横)
ROGはRepublic of Gamersの略でASUS(華碩)のゲームPC部門になる。ヨーロッパではEスポーツが盛んで、COMPUTEX会場でもゲーマーに特化した製品が数多く出展される。Eスポーツという言い方をすると日本では馴染みが薄いがハイエンドのゲーミングPC、マザーボード、ディスプレイ、そして周辺機器などが出展される。欧米から訪れるバイヤーにとって見逃せないエリアの一つである。
■第1ホール4F/北側入口から会場へ、今年は大手EMSベンダーも出展
FOXCONN(鴻海)とPegatron (和碩)が入口を入ってすぐの左右にパビリオンを構えている。この2つの巨大EMS企業の出展製品も注目だ。Pegatron (和碩)とはASUS(華碩)のEMS部門。現在では独立した別会社となり、ASUS(華碩)を凌ぐ売上高となっている。FOXCONN(鴻海)の正式名称はHon Hai Precision Industry Co., Ltd.(鴻海精密工業)で台湾最大手のEMS企業。AppleのiPhoneやSonyのPlayStationなどの製造を受託している。最近では電気自動車(EV)市場への進出し、2023年のJapan Mobility Show にEV車を出展している。日産自動車買収の件で話題になったことも記憶に新しい。
他にも、第1ホール4FにはGIGS-BYTE(技嘉)、MSI(微星)、Intel(中国語名は英特爾)、DELTA(台達電)、ITRI(工業技術研究院)、TADA(台灣先進車用技術發展協會)といった注目の企業やパビリオンが出展。特に、TADA(台灣先進車用技術發展協會)はモビリティシフトを加速させる台湾ITベンダーが設立した新しい業界団体。スマートコックピット、充電ステーション、車載向け半導体といった製品が注目だ。
■第1ホール1Fには今年のメインである「AI NEXT」の関連製品が出展
AI Service Technology、Storage & Management Solutions、Advanced Communications & Networkingと3つエリアが第1ホール1Fになる。今年のCOMPUTEX & InnoVEXのテーマは「AI NEXT」となっている。第1ホールのAI Service TechnologyエリアAI関連製品の出展に注目。今年のCOMPUTEX & InnoVEXで見逃せない出展エリアだ。
■第2ホール4F/InnoVEXとはスタートアップの祭典
InnoVEX (イノベックス)とは2016年からCOMPUTEXに併設されているスタートアップの祭典だ。Innovation+ExsibitionがInnoVEXの由来。今年の出展社数はおよそ400社。国内外のスタートアップの他、フランス、ベルギー、オーストラリア、ブラジル、インド、インドネシアなど各国のアクセラレータがパビリオン出展している。日本からは沖縄、福岡、北九州といった自治体がパビリオンを設け、それぞれの地域のスタートアップが出展している。
■第2ホール4F ホールにはBC Award(Best Choice Award)がパビリオンを設けている/台湾IT製品のトレンドがわかるエリア
BC Award(Best Choice Award)は台湾IT関連製品のトレンドがわかるお勧めエリアだ。BC Award(Best Choice Award)パビリオンは第2ホール4F ホールの入り口付近に設けられている。BC Award(Best Choice Award)とは台湾メディアが評価した製品に送られるAwardで、パビリオンには分野ごとに‘いま’最も注目を集めている製品が展示されている。COMPUTEXのトレンドを知るには、まずBC Awardパビリオンを押さえておきたい。
ただし、BC Award(Best Choice Award)はすでに市場に投入され、一定の評価を受けている製品群である。そういう意味では展示される製品は‘過去’の製品と言うこともできる。COMPUTEX & InnoVEXの真骨頂はこの展示会に合わせて発表される新製品や製品化が予定されているプロトタイプなど未発表の製品である。すでに発表されて一定の評価を受けている製品を’トレンド’と見るか、今後の製品化が期待される製品を’トレンド’と見るか、どちらを’トレンド’と見るか、COMPUTEX & InnoVEX視察の目的も明確にしておきたいところである。
■第2ホール4F にTADA Smart Mobility Pavillionが出展
TADA(台灣先進車用技術發展協會) の英語の正式名称はTaiwan Advanced Automotive Technology Development Association、今年のCOMPUTEX & InnoVEXの中でも注目のパビリオンだ。車載関連製品をはじめ給電ステーション、給電パネル、スマートメーター、さらに最新型のドライブレコーダー、センサーと通信技術を駆使したスマートシティ関連ソリューションなどの展示が予定されている。Mobilityに関心がある方は見逃せないエリアだ。
■第2ホール1Fはじっくりと見て回ると意外と面白いエリア
Industrial IoT & Embedded Systems、Consumer Electronic Accessories、Intelligent Business Solutionsと3つのエリアが設けられている。実は、意外とおもしろいのがこのエリアだ。ブースをじっくりと見て回るとユニークな製品を見つけることができる。筆者は毎年COMPUTEX で一番時間をかけて見て回るエリアでもある。第2ホール1Fに限らず他のホールでも‘壁際’の小さなブースが意外とおもしろい。展示会場の‘四隅’で意外とユニークな製品を見つけることができる。これもCOMPUTEXを見る楽しみのひとつだ。時間に余裕のある方はぜひ‘壁際’のブースも意識的に回ってみることをお勧めする。
■第2ホール7FではCOMPUTEX Keynotes、COMPUTEX Forumsが開催
最新トレンドを知りたいなら第2ホール7Fセミナー会場へ。COMPUTEX Keynotes、COMPUTEX Forumsが開催される。今年も国内外の有力企業が新製品の発表やプロトタイプの公開を行う。Intel(英特爾)、AMD(Advanced Micro Devices/中国語名超威半導体)など、注目のキーノートやフォーラムが予定されているのでIT機器の‘未来’を見たい方はこちらへ。具体的な講演テーマと講師については公式ウェブサイトで確認しておきたい。講演テーマや講師は直前に変更になるケースもあるので要注意。事前に要確認だ。
■第1ホールと第3ホールの3階部分にはSemiconductors & Hospitality Suites
どちらのホールともに3階部分は会議室を使った展示となり、半導体関連企業がバイヤーを招いた‘商談’をするための部屋が設けられている。具体的なビジネス重視の出展が集まっている。基本的には「招待者」のみ、「バイヤー」のみが対象なので見学だけでは敷居が高い。アポを希望する場合は事前に各社のウェブサイトでチェックしておきたい。
■日本語の「事前登録」のサイトはこちらから
https://www.computexonline.com.tw/?userlang=jp