12)本当に一日で「中国人」が理解できるようになるのですか?

12)本当に一日で「中国人」が理解できるようになるのですか?

■「答え」は残念ながら、[NO」です。このセミナーでは、まず「華人」(中華系の人々)が持っている共通部分を理解することから中国人理解のアプローチを始めます。それが、中国人の価値観と基本となる行動様式、仕事観と就業意識、Do’s and Don’tsです。

■そもそも一日のセミナーで「中国人」のすべてを理解できるとは思わないでください。中国は56の民族で構成された他民族国家です。北から南、沿海地域から内陸地域まで、地域によってもさまざまな価値観を持った人々の集合体です。

■セミナーでは中国人を理解するときの切り口として、「4つの異文化フィルター」という提案をしています。4つの切り口とは、「地域差」、「世代差」、「職業差」、「経歴差」の4つです。色が違った4枚のフィルターを重ね合わせると、さまざまな色のグラデーションが現れます。つまり、同じ中国人でも価値観や行動様式が違うさまざまな人々がいるのです。(「中国とビジネスをするための鉄則55」アルク刊行吉村章著/P55)

■セミナーでは、地域による特徴、業界による違い、学歴や職歴による違い、企業経営者の特徴についても簡単に触れます。中国国内における地域性の特長、80后」/「90后など若い世代と改革開放世代の違い、中国人(大陸)と台湾人の違いなどです。しかし、大切なのは、中国人のすべてを知ることではなく、あなたの目の前に現れた中国人(その人/個人)が理解することが中国人理解の第一歩です。

■一般的に日本人はどんなことでも「パターン化して理解を深めようとする」という特徴があると言われます。一方、中国人は、パターン化して理解することよりも「私の目の前にいるあなた」から理解しようとします。「パターン化しても日本人を理解できない」「理解したことにはならない」と考えるのが中国人です。そもそも「パターン化することは意味がない」と考えるでしょう。パターン化、類型化して理解を深めようとするのではなく、自分が理解すべき対象である「個人」に(本人に)関心を持つ。これが中国人のアプローチ方法です。このような点からも日本人と中国人の価値観や考え方の違いを読み取ることができます。

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